ノルマルリューベー とか、Nm3とか、某業界方面とかでまことしやかに使われている単位,工業量があるわけですが、これはいったい何なのか。
一言でいうと質量の単位です。体積の単位じゃないです。
ちなみに、ノルマルリューベー に使用されている「N」という記号は補助単位(SI補助単位)ではありません。そんな風に見えますが「N」なんて補助単位はありません。
もちろん組立単位でもありません。この「N」はニュートンではないです。
つまり、この「N」は「ノルマル」であることを示すために、慣例的に使用している記号です。
なので記述位置も固定されておらず「m3N」のように書く場合もあります。
あらためて。それでは「ノルマルリューベー」とはいったい何なのか。
リューベーは「立米」の読みで、「立米」は「立方メートル」です。つまり「㎥」のことです。「米」はメートルのことです。
「ノルマル」は、「ノーマル(Normal)」のことで、正常な、基準の、という意味です。
なので「ノルマル」「立米」というと、「正常化(Normalize)された」「立方メートル」ってことですね。
それではなにが "正常" であり、何が "正常ではない" のかというと。
体積は温度や圧力によって値が変わります。ボイル・シャルルの法則というやつです。温度を高くすると体積は大きくなり、圧力を大きくすると体積は小さくなる、というアレです。なので、温度と圧力を無視して体積だけを計測しても正確な量が把握できません。
そこで、測定した体積とその時の温度と圧力をもとに、ある基準の温度と圧力であった場合の体積量に換算します。これが「ノルマルリューベー」です。
では「ある基準の温度と圧力」とは何か、ですが、多くは「常温常圧」と言われます。(*1)
そうすると「常温常圧」って何?ってことになりますが、常圧は大気圧であることが多く、常温は15℃~20℃を採用することが多い気がします。(確証はありませんが…)
大切なことは基準とする温度・圧力は、その工場とかそのプロセスで自由に決められているということです。
したがって、ある工場(プロセス)と、別の工場(プロセス)で「ノルマルリューベー」を使っていたとしても、両者が同じ量であるとは限らないことです。
かくて。
どんな温度/圧力であったとしても、基準の温度/圧力(たとえば、1013hPa/15℃)での体積を示しているものが「ノルマルリューベー」です。
温度や圧力に左右されない物質量ということなので、つまるところ質量ってことなのです。
じゃあなんで kg にしなかったんですかね? kg なら他の工場との比較も何も考えずに可能なのに…という話はありますが、たぶん重量の単位で体積を表すのは「直観」に反するからなんでしょうね…(実際問題として、プロパンガスとか Kg で取引しているものもあります。)
- (*1)
-
あらためてぐぐってみると、基準温度は 0℃ が多勢を占める模様です。
しかし「0℃とする」規格があるわけではないので、基準温度/圧力は確認してから指示を読むようにします。
(もし何かしらの規格があるのであれば、教えてほしいです。)